オカピが指揮をして、ライオンがトランペットを、ホッキョクグマがテューバを演奏する。「ズーラシアンブラス」は、奏者が希少動物に扮して演奏する金管五重奏団だ。0歳から入場できる親子向けのコンサート「音楽の絵本」などを、全国各地で年間150公演ほどを開催し、音楽の素晴らしさを知る糸口を提供する。運営する株式会社スーパーキッズ代表の大塚治之さんに、誕生のきっかけや子どもに音楽を楽しんでもらうための工夫などを聞いた。
クラシック音楽の“絵本”に
絵と文章で伝える絵本は、子どもにとって文学の入り口。「クラシック音楽における絵本の役割ができれば」と誕生したのが「音楽の絵本」だ。うさぎの弦楽四重奏「弦(つる)うさぎ」とともに、クラシックや童謡、アニメ音楽などを織り交ぜて披露する。公演によっては、キツネのサックス四重奏や、ネコのクラリネット四重奏が加わることも。現在、動物の種類は全部で40を超えるという。今年はスティールパンを演奏する真っ赤な鳥「スカーレット」が新たに仲間に加わった。
動物たちの顔は無表情で、一見すると怖くも見える。「これには、ちゃんと理由があってですね」と大塚さん。「コンサートでは楽しい曲もあれば、悲しい曲、おどろおどろしい曲も演奏します。動物の顔はお客さんの心情を投影するスクリーン。無表情にすることで、笑っているように見えたり、悲しんでいるように見えたりするんです」