多くの人が一度はお世話になったであろう学校の「黒板」。1960年代には約150社存在していた黒板メーカーも、1970年代以降に減少し、現在では約30社になってしまったといわれている。
そんな市場のなかで、「黒板のICT化」をキーワードにアナログとデジタルの「ハイブリッド黒板」を提供しているのが、株式会社サカワだ。同社は、教師の業務負担を少しでも減らすことを目指し、黒板のよさを残しつつデジタル技術を駆使した製品を開発している。
現在、主力製品「ワイード」は全国の教室に累計1万台導入されており、教師や保護者からも大きな支持を得ている。しかし、開発から導入、さらに導入後にも多くの苦労があったそう。
今回は、株式会社サカワの4代目代表取締役社長・坂和寿忠さんに、ハイブリッド黒板の開発・導入の経緯や業界の現状について話を聞いた。
東京駅のプロジェクションマッピングからアイデアを得る
近年の少子高齢化により学校の数が減少し、黒板メーカーは斜陽産業となりつつあった。坂和さんは家業に従事するようになり、黒板の価値を上げたいと考えていたが、黒板自体は昔から変わっていなかったため、新しい技術の活用を模索していた。
「ある日、東京駅のプロジェクションマッピングからアイデアを得ました。東京駅の駅舎は約100年前に建てられたもので、プロジェクターと新しい技術の融合により生まれ変わった姿を見て、これを黒板にも応用できるのではないかと考えたのです。奇しくも、黒板も約100年前に輸入された技術であり、そこにもシナジーを感じました」