実際に“夜逃げ”を行う現場を漫画で描く「夜逃げ屋日記」。作者の宮野シンイチさん(@Chameleon_0219)がSNSで公開し、書籍化もされた人気作だ。第17話では、虐待やDVとは異なる、宗教の影響によって逃げ場を失った依頼者が描かれる。注目すべきは、依頼後の心のケアを担当するカウンセラー・ジョーという人物の存在だった。
「カウンセラーの存在を知ったのは、ほんの断片的でした」と話す宮野さん。漫画にも登場するジョーは、夜逃げ屋のスタッフでありながら、本業はカウンセラー。依頼者の心に寄り添い、過去の傷を癒やすサポートを担っている。
今回登場した依頼者・井上ヨシコさん(仮名)は、母子家庭で育ち、母親が熱心に信仰する宗教のもとで厳しい生活を強いられてきた。規則を破ると鞭打ちなどの罰が待っていたという。「私の人生をむちゃくちゃにされた。心の底から母を恨んでいる」と語る彼女の言葉には、積み重なった痛みがにじんでいた。