ウォーカープラス

印象派とポスト印象派、それぞれを代表する画家・ルノワールとセザンヌ。まったく異なる個性を持つこの2人の巨匠を同時に紹介する、世界巡回展「ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」が、2025年5月29日~9月7日(日)の期間、東京・丸の内の三菱一号館美術館にやってきた。


キービジュアルのひとつ、ポール・セザンヌ『セザンヌ夫人の肖像』1885-1895年 オランジュリー美術館


三菱一号館美術館は、1894年に建設された赤煉瓦の建築を復元。クラシックな赤煉瓦の外観が特徴


舞台は19世紀末から20世紀初頭のフランス。パリのオランジュリー美術館が初めて2人の画家に同時にフォーカスして企画・監修し、それぞれの名画を“見比べる”ことで、モダンの先駆者としての足跡をたどる構成となっている。今回は、実際に展覧会を訪れた編集部員が、見ごたえたっぷりの展示の中から、特に印象に残ったポイントを紹介する。個性の違いを超えて響き合う、2人の軌跡。そんな世界に、ちょっと足を踏み入れてみては?


ピエール=オーギュスト・ルノワール『帽子の女』1915-1919年 オランジュリー美術館


東京だけの特別展!印象派とモダンの巨匠が導く20世紀モダンアートの原点


ミラノ、スイス、香港を巡った話題の展覧会が、東京・丸の内で開催中。しかも国内開催はここだけ。ルノワールとセザンヌ、2人の名画がそろい踏みする貴重な機会。しかも、日本で見られるのは、この東京開催だけ。たとえば、ルノワールの『ピアノの前の少女たち』。セザンヌなら『画家の息子の肖像』。誰もが一度は目にしたことのあるような代表作をはじめ、全52点が一挙に公開される。


【写真】ルノワールの『ピアノの前の少女たち』を前に、以前見た作品との違いに気づいた、編集部員。その理由は後ほど作品紹介で…


ポール・セザンヌ『画家の息子の肖像』1880年頃 オランジュリー美術館


2人の友情や影響関係を軸に、多彩なジャンルを横断しながら、20世紀モダン・アートの原点をたどっていく。全5セクションの構成のなかで、展覧会の始まりを飾るのは、若き日の2人に迫る第1章。ここでは、ルノワールとセザンヌ、2人の交流の始まりと若き日の作品にフォーカス。続く章では、肖像画、静物画、風景画といったテーマごとに、それぞれの表現の違いや個性の輝きが立ち上がる。そして最後のセクションには、ピカソなど彼らの影響を受けたアーティストたちの作品も登場。絵画の世界が大きく変化する“転換点”が、じわりと浮かび上がってくる。


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