1819年の創業以来、ガラス製品をはじめとする国内有数の総合容器メーカーとして知られる石塚硝子株式会社が、ガラス製造の際の排熱を利用してコーヒーの栽培を始めた。その取り組みについて、新事業・機能材料カンパニー イノベーション推進部 新事業創出グループリーダーの両角秀勝さんに話を伺った。
同社がこの取り組みを始めるきっかけとなったのは、2022年に発足した「次世代ビジネス創出プロジェクト」だ。20〜30人の社員による新規事業創出のための通年のプログラムでさまざまな企画提案が行われ、30案ほどの中から残ったうちのひとつが「工場の排熱を利用した持続可能なコーヒー栽培実証実験」だ。
「当社はガラスを溶かす溶融炉が365日休まず稼働し、300度の排熱が発生しています。これをどうするかは以前からの課題でした」と話す両角さん。「これまでは熱交換器を利用して湯を作り、ガラスの洗浄や社員用の風呂に利用していましたが、環境に配慮した給湯器を使うようになって熱交換器を24時間稼働させることがなくなり、昨今は排熱の有効利用ができていない状況でした。コーヒー豆栽培のプロジェクトはタイミング的に合ったと思います」。