グリコのポッキーと言えば、昭和世代から令和世代まで、誰もが知るロングセラー商品。販売から60年目を迎え、「ポッキーチョコレート」と「ポッキー極細」の2品をリニューアルした。なぜ、このタイミングでリニューアルをしたのか。「ポッキー」ブランドのほかの商品はどうなるのか。江崎グリコ株式会社 グローバルブランド事業部 Pockyマーケティンググループ 鈴木葵さんに話を聞いた。
世界で初めてのスティック状チョコレート
1966年の誕生以来、子どもから大人まで幅広く愛されているポッキーだが、誕生当時の1960年代は日本でチョコレートと言えば板チョコが全盛の時代で、“チョコスナック”というジャンルは一般的ではなかった。ただ、「欧米ではすでにスナック感覚で食べられるライトなチョコの人気が高まっていました。そんななかで江崎グリコでは新たなチョコスナックの開発を試みていました。その当時、ヒット商品だった『プリッツ』にチョコレートをコーティングするというアイデアをもとに新商品の開発に着手しました」と鈴木さん。
プリッツはスティック状で持ちやすく、家族や友達同士など集まった人たちで分け合いながら食べられるという、気軽でユニークな食べ方が支持されていた。これにチョコレートを合わせたらおいしいということは容易に想像できたが、実現させるには思わぬハードルがあったという。「プリッツ全体にチョコをかけてしまうと、手で持ったときに汚れてしまいます。その対策として最初は銀紙で1本ずつ巻くという案が出ました。しかし、生産効率やコスト面で考えると現実的ではなく、振り出しに。いろいろとアイデアを出していく中で、開発チームのひとりがプリッツ全体にチョコをかけなくてもいいのでは?と思い、“持つところ”のある、現在のポッキーの原型が誕生しました」と鈴木さん。これが「世界で初めてのスティック状チョコレート」として発売され、たちまち話題となった。