2007年の公開から18年——。世界中で愛され続ける新海誠監督の名作アニメーション『秒速5センチメートル』が、ついに実写映画として生まれ変わる。主演には新海監督が「最も信頼している」と太鼓判を押す松村北斗さん、ヒロインに高畑充希さんを迎え、2025年10月10日(金)に公開。実写ならではの新解釈が融合した注目作の魅力をひもといていく。
“無謀な挑戦”と言われた実写化
新海ワールドの原点と呼ばれる『秒速5センチメートル』。原作は63分という短さゆえ、そのまま実写化することは不可能だった。この“無謀な挑戦”と言われた企画を実現に導いたのは、フジテレビの玉井宏昌プロデューサー。2023年、コミックス・ウェーブ・フィルムの公式サイトから正面突破で実写化を打診したという。コミックス・ウェーブ・フィルムからは「どういう物語にしようとしているのか次第」との見解が示された。
原作をどう長編映画に膨らませるか——その答えを見つけるべく脚本開発がスタートする。脚本を手がけたのは、『雪子 a.k.a.』や『愛に乱暴』などで知られる鈴木史子さん。原作にはない創作を織り交ぜたシナリオは制作サイドからも評価され、映像化への道が開けた。どこまでが原作通りで、どこからがオリジナルなのか——その絶妙なバランスが本作の見どころのひとつとなっている。