ウォーカープラス

冬の訪れとともに、街のあちこちでイルミネーションが灯り始め、思わず足を止めて見入ってしまう。そんなイルミネーションの歴史と最前線を知り尽くすのが、夜景観光コンベンション・ビューロー代表理事であり、夜景評論家の丸々もとおさん。どんなトレンドが生まれ、今年の光はどんな変化を見せているのか。今シーズンのイルミネーションの動きを、丸々さんに聞いた。


夜景観光コンベンション・ビューロー代表理事、夜景評論家の丸々もとおさん


個性が光る、進化するイルミネーション


ーー今シーズンのイルミネーションについて、今年ならではの傾向やトレンドをどう見ていますか?


【丸々もとお】2000年代初頭にLEDの価格が下がりだし、東京ドイツ村やあしかがフラワーパークなど、全国で本格的なイルミネーションが次々に誕生しました。それから20年以上の時が流れて、LEDの進化とともに光の表現もずいぶん多様化しました。かつては原色をたくさん使って、球数を競うような時代もありましたが、今はレーザーやプロジェクションマッピングなどを組み合わせた“演出の時代”に入っています。


ひと昔前は電球の数を競っていたけれど、今は演出を競う時代になったという


ただ、なぜ多様化してきたかというと、日本人は良くも悪くも飽きやすいからです。飽きられないために、各施設が新しいことを次々に仕掛けてきた。その流れの中でコロナ禍もあり、観光業界全体が厳しい時期を迎えたものの、今は再び進化を求めるフェーズに入ってきたと思います。各施設が自分たちの特徴を見つめ直して、“どこを推しとしてファンを増やすか”を明確にし始めた。いわば“主体性の時代”です。


ーー各地の施設でも、それぞれの“個性”が際立ってきたように感じます。


【丸々もとお】たとえば伊豆のぐらんぱる公園では、巨大な龍のランタンを登場させています。これまでは中国製ランタンを並べるだけでしたが、今は自分たちで創り上げるオリジナリティの時代。単なる輸入ではなく、作品としてのスケールと創意を競うようになってきました。あしかがフラワーパークも同じです。アナログな美しさを大切にしながら、裏ではデジタルプログラムを導入して進化させている。東京ドイツ村も“光の地上絵”という自分たちの強みを活かして、鑑賞ポイントを増やし、より立体的に見える工夫をしています。


どこかのまねをするのではなく、個性を出しているイルミネーションが注目されていると、丸々さんは教えてくれた


どこかの施設が人気だからまねをする、という時代ではもうありません。それぞれが“自分たちらしさ”を見つけ、個性を磨き合う時代に入りました。相模湖のイルミネーションでは「すみっコぐらし」「ポケモン」「ドラえもん」など、人気キャラクターを取り入れてIP戦略で勝負している。争い方そのものが変わったんです。


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