静かに眺めてもいいし、話しながらでもいい。写真を撮っても、寝転んでも大丈夫。そんな“自由な鑑賞スタイル”が広がるのが、神奈川県主催の「第2回 かながわともいきアート展~生きること、表現すること~」。

会場の横浜赤レンガ倉庫1号館2階スペースは、来場者がそれぞれのペースで作品と向き合い、誰もが安心して自分らしくアートに触れられる空間になっていた。今回は、開催前日に開催された報道内覧会の中津川浩章ディレクターの解説ツアーに参加してきた。そこで、作品について紹介してもらったので、その模様をお届けする。
ともいきアート展とは
「ともいきアート展」は、神奈川県が掲げる“ともに生きる社会かながわ憲章”の理念をもとに、障がいのある人もない人も、ともにアートを通して生きる喜びや表現する楽しさを感じ合うことを目的に開催されている展覧会。「ともいき」という言葉には、誰もが互いを尊重しながら共に暮らす社会を目指すという思いが込められている。本展では、障がいのある人々の作品を“特別なもの”として扱うのではなく、ひとりのアーティストとして紹介し、作品に込められた個性や感性を観る人が自然に受け取れる場づくりを目指している。


“ともにいきる”を感じるアートたち
障がいのある作家たちが表現することに費やすエネルギーのすさまじさには驚かされる。制作に向かうときの非常な集中力、緻密さ、細部へのこだわり、色彩感覚、空間構成。まさに圧倒的な熱量が作品の中に注がれている。中津川浩章ディレクターは「『表現』に向かうそのエネルギーはどこから来るのでしょう。ネガティブさ、自由さ、弱さ、傷つきやすさといったフラジリティな要素は、表現が生まれてくるためのとても重要なエレメントです。言葉にできない内なる思いが強く大きいほど、表現はより強度を増し、豊かになるとも言えます」と語っている。さらに、「障がい者作品は、背景を知ることで初めて作品の意味や思いが見えてくる。コンセプトではなく、作り手一人ひとりの物語を知ることが、作品を深く理解する手がかりになる」とも話してくれた。飾らない線や、あふれる色彩。そのすべてが、いまを生きる人の姿そのものだ。