
いじめる側でもいじめられる側でもなく、その親の視点で描くという斬新な観点の漫画『娘がいじめをしていました』。作者のしろやぎ秋吾さんが描くのは、娘がいじめ加害者かもしれないと疑う親の葛藤だ。当事者である子どもたちではなく、何があったか直接は知らない保護者の視点で淡々と描かれる本作の制作秘話を伺った。
「うちの子に限って」…親のバイアスと恐怖


「セミフィクションの題材として『いじめっ子の親の話』を提案され、自分も読んでみたいと思い描き始めました」と語るしろやぎさん。自身にも小学生の子どもがいるため、「まさか自分の子どもが…」と想像し、いつ当事者になってもおかしくないと感じたという。
物語はフィクションだが、登場人物の心情をリアルにするため、妻や編集者と何度もネームを作り直した。制作に行き詰まったときはSNSで体験談を募集し、100件以上読み込んだ。「体験談は本書の中では親の心情の参考にだけ、させていただきました」と、リアリティへのこだわりを明かす。