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  • 世界遺産マチュピチュ。その名を聞くだけで胸がざわつく憧れの神秘的な天空都市だ。六本木ヒルズ 森アーツセンターギャラリーでは、そんな謎とロマンに満ちた天空都市を紹介する展覧会「CREVIA マチュピチュ展」が開催中。会場には、ペルーから運ばれた130点以上の本物の至宝だけが展示され、都市の成り立ちや技術、神話の世界まで立体的に感じられる内容になっている。


    さらに、オープニングセレモニーには公式ナビゲーターとしてお笑い芸人のカズレーザーさんが登場。世界史好きとしての視点や、思わずクスッと笑えるコメントも交えながら、この展覧会の楽しみ方を軽やかに案内してくれた。今回は、そんな未知の文明を覗いてみたくなる、ワクワクを抱えながら巡る「CREVIA マチュピチュ展」の模様をレポートする。


    公式ナビゲーターのカズレーザーさん


    謎と技術が息づくマチュピチュの正体


    標高約2400メートル。南米ペルーの深い山脈にひっそりと姿を隠すマチュピチュは、1911年に探検家ハイラム・ビンガムが“再発見”するまで、数百年ものあいだ世界から姿を消していた都市だ。断崖の尾根に突然あらわれる石組みの神殿や住居跡は、太陽を中心とした信仰と天文学、そして高度な農耕技術がひとつに結びついて築かれたものとされている。


    本展では、マチュピチュについて詳しくパネルで解説されている


    ただ険しい山の上に都市があったという話ではない。金属製の道具を使わずに石を切り出し、隙間なく積み上げる“精密な石組み”。昼間に熱を蓄えて夜間の霜から作物を守る“段々畑の温度管理”。そして、山肌を縫うように流れる“水路のネットワーク”。どれも、文明の成熟度を物語る技術だと評価されている。


    近年は3D LiDARや航空写真によって、地中に埋もれていたテラスや階段、水路が次々と可視化され、当時の都市が想像以上に広く、計画的につくられていたことがわかってきた。自然の地形を読み、環境と調和しながら暮らしていた人々の知恵。そのしなやかで合理的な設計思想こそ、マチュピチュが“天空の都市”と呼ばれ、いまも多くの人を惹きつけ続ける理由になっている。


    世界巡回展がついに日本へ。約130点すべてが“ホンモノ”


    本展は、2021年にアメリカのボカラトン美術館からスタートし、これまで世界4都市を巡回してきた人気展。累計54万人以上を動員し、ついに日本へ上陸することになった。最大の特徴は、ペルー・リマのラルコ博物館から貸し出された約130点もの文化財が“すべてホンモノ”であること。国外初公開の品も多く、日本でこれだけまとめて見られるのは極めてレアな機会だ。


    「CREVIA マチュピチュ展」エントランス


    さらに今回は、2012年の「インカ帝国展」以来13年ぶりとなる大規模マチュピチュ関連展でもあり、黄金の装飾品や儀礼具、神話世界を描いた陶器など、アンデス文明の核心に迫る品々がそろう。展示室に入ると、金細工が静かに光を返し、戦士が身につけた耳飾りや、儀式に使われた祭具がずらり。ゆったりとした間隔で配置されているので、一点一点とじっくり向き合いやすい構成となっている。


    ■■本展のおもな展示構成


    今回の展示は、ただ順路に沿って眺めるというより、ストーリーを追いながら歩ける“体験型”の構成になっている。どのエリアも雰囲気がガラッと変わるので、少しテーマパークを歩いているようなワクワク感がある。ここからは、その6つのゾーンをカジュアルに紹介したい。


    展示の入り口で迎えてくれるのがイントロシアターだ。会場に入ると、アンデスの大地と天空都市マチュピチュを映し出す巨大スクリーンが広がり、霧の尾根を渡る光や神話の英雄“アイ・アパエック”の登場が、これから始まる物語の扉をそっと開いてくれる。この瞬間に気持ちがふっと「古代アンデス」へ切り替わる。


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