
洗濯物をたたく穏やかな日常の中で、母親が携帯の着信音に気を取られたのはほんの数分。だがそのわずかな隙に、4歳の常見七海は庭先から跡形もなく消えた。温かかった家はその瞬間から凍りつき、家族は戻らない10年を抱えたまま止まり続けてしまう。
そんな“消えた娘”の記憶を呼び起こすように、七海の幼なじみである徳原砂羽と白井圭樹が常見家を訪れたところから物語が再び動き始める。2人の手には、七海が幼稚園時代に埋めたというタイムカプセル。封印された記憶が開かれ、過去と現在が静かに接続していく気配が漂う。
この緊張感に満ちたミステリー「仮門」を描くのは、鳩ヶ森( @hatogamori )さん。2023年「第2回朝日ホラーコミック大賞」で大賞を受賞した新鋭が挑む、初の本格ミステリーだ。


