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“イヤミスの女王”湊かなえさんの小説『人間標本』が、主演に西島秀俊さんを迎えて実写ドラマ化。“親の子殺し”というセンセーショナルなテーマに正面から挑んだ本作で、西島さんは息子・榊至を含む6人の少年たちを「人間標本」にしたと衝撃の告白をする蝶の研究者・榊史朗教授を演じている。


蝶に魅せられた特殊な役柄に挑んだ西島さんに、撮影秘話や息子役を演じた市川染五郎さんの印象、さらに物欲を刺激されたアート作品などを語ってもらった。


ドラマ『人間標本』で主演を務めた西島秀俊さん 撮影=三橋優美子


湊かなえさんの原作を読んで「着眼点が素晴らしいと思った」


――本作への出演を決める際に、一番惹かれたポイントはどんなところでしたか?


【西島秀俊】企画をいただいてすぐ原作を読んだのですが、視点が変わることで物語が二転三転し、“誰も最後に描かれる真実に辿り着けないのでは”というおもしろさに引き込まれました。そこに親子の愛情や人間の業というものが織り込まれている。ぜひ挑戦したいと思い、榊史朗という役をお引き受けしました。


――原作を読まれた時の感想もお聞かせいただけますか?


【西島秀俊】蝶が見ている世界と、アートの世界で生きる人たちが見ている世界をリンクさせるという発想にまず驚きました。さらには、あらゆる蝶の特性と、登場人物のキャラクターも掛け合わせながらストーリーが展開していきます。湊先生の着眼点が素晴らしいと思いながら読みました。


撮影=三橋優美子


――美しい少年たちだけでなく、息子でさえも蝶に見えてしまう史朗を演じるにあたり、どんなことを意識されたのでしょうか?


【西島秀俊】異様に見せようとか、どこか変な人に見えるように演じようと思ったことは一切なく、“榊史朗がどういう思いで今この瞬間ここにいるのか”ということだけを考えていました。本作は、最後のワンカットまで観てようやく“そういうことだったのか…”とわかるので、そこに向かって史朗に寄り添いながら演じました。


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