アイドルからソロアーティストに転身し、音楽活動だけでなく俳優業やバラエティ番組出演などジャンルの垣根を越えた活躍でエンターテインメントの最前線を走り続ける、あのさん。アーティスト活動5周年を迎えた今年、自身の幼少期から近年までの自身の体験や感じたことを書き下ろした、初の著書『哲学なんていらない哲学』を出版した。哲学という切り口で、自身にとって「当たり前」のことをあえて本にしたというあのさんに、本書に込めた思いや自身の変化についてなどを聞いた。

初めて挑戦した“言葉だけの世界”
──今回、本を出すことになったいきさつを教えてください。
【あの】これまでに数えるくらいしか本を読んだことがなくて、本を書きたいと思ったこともなかったのに、初めて「書きたい」って思ったんです。そんな自分の感情が全部一瞬で過ぎ去っていくのもわかっていたから、書きたいと思った今、書いておこうみたいな感じでした。
壮大なことじゃなくて、本当にどうでもいいって周りから思われるようなことを自分の“初期設定”として書いておきたかったんです。いろいろ聞かれることも、これを読めばわかるでしょって思うし。テレビとか動画だと自分の喋り方、声や容姿にもっていかれて、自分の言葉が言葉として伝わることが少なくて、言葉だけの世界、言葉を閉じ込められる場所が本なのかなって。言葉だけの世界は初めてなので、読まれることにちょっとドキドキもあります。

──では、タイトルにはどんな意味を込めたのでしょうか?