
「私に弟がいた!!」主人公の恵は、家の押し入れで見つけた一枚の古い写真をきっかけに、自分でも忘れたふりをしていた過去と向き合うことになる。離婚した両親と幼い自分、そして確かに写っている“弟”の存在。写真の裏に書かれた住所を頼りに、恵は会ったことも覚えていない弟に会いに行く決意をする。
やっと再会できた弟はやせ細り、大切にされてはいなかった



学校帰り、友達に付き添われて訪れたアパートは、想像を超える光景だった——。荒れ果てた部屋、やせ細った弟、そして奥で無関心に横たわる大人の姿。弟は確かにそこに生きていたが、大切に守られている様子はどこにもなかった。友達に帰ろうと促されても、恵の足は動かなかった。今ここで背を向けたら、自分はもう二度と「お姉ちゃん」ではいられない気がしたからだ。