
混雑した寿司店で20分ほど待った時、店員が少人数の客を先にカウンター席へ案内した。その光景を見た瞬間、父の苛立ちが一気に噴き出した。「俺たちよりあとに来ただろ。順番を抜かすな、非常識だぞ」。順番が回ってきても怒りは収まらず、「俺たちのほうが早く並んだ」「お金を払うお客様に失礼だろ」と声を荒らげる父。周囲の冷たい視線が突き刺さる中、立っていたのは自分の父親だった――。西野みや子さんの漫画『わたしの親が老害なんて』は、そんな逃げ場のない体験から始まる。
ありがたかったはずの親が、いつしか謝り役を押し付ける存在になっていく



高齢となった両親は近所に住み、子育て中は何かと支えてくれる心強い存在だった。しかし子どもが独立し、夫婦2人の生活が当たり前になると、親との距離は別の意味で縮まっていく。
頻繁にかかってくる電話、買い物への強いこだわり、外出先で始まる店へのクレーム。世間とのズレに気づかない親の代わりに、娘の栄子が頭を下げる場面が増えていった。「老害」という言葉が、まさか自分の親に重なる日が来るとは思ってもいなかった。