浅草と上野の間に伸びる、全長およそ800メートルの通り。かっぱ橋道具街は、プロの料理人が足しげく通う専門店街として知られる一方、食品サンプルや和包丁を目当てに訪れる観光客にも人気のスポットだ。
一見すると「調理器具の問屋街」だが、実際に歩いてみると、店ごとに得意分野がはっきり分かれており、飲食店の現場を支える工夫や知恵があちこちに詰まっていることに気づく。この記事では、そんなかっぱ橋道具街の成り立ちと、気軽に楽しめる街歩きの魅力を紹介する。

かっぱ橋道具街とは?

かっぱ橋道具街は、台東区西浅草から松が谷にかけて続く商店街だ。調理器具や食器、厨房設備、食品サンプル、看板、制服まで、飲食店に必要なものが一通りそろうことで知られている。
その歴史は、大正から昭和初期にかけての復興期にまでさかのぼる。
「合羽橋」という名前の由来には、今も語り継がれるいくつかの説がある。ひとつは、江戸時代、この一帯の水はけの悪さに悩んだ商人・合羽屋喜八が私財を投じて治水工事を行い、工事を手伝った河童への感謝から名が残ったという伝承だ。もうひとつは、近くにあった武家屋敷の下級武士たちが内職で作った雨合羽を橋に干していたことに由来するという、より現実的な説である。