ウォーカープラス

あなたは、自分の街にどれくらい愛着を持って過ごしているだろう?


人口10万人以上の都市を対象に、住民が自分の街にどれだけ愛着や誇りを感じているのかを明らかにする全国調査「シビックプライド」の調査結果が、2026年1月21日に発表された。


「街を好きだと思うだけで終わらず、もう少しよくできたらいいなと、つい関わりたくなる感覚」。今回の調査を手がけた、読売広告社 都市生活研究所 所長の山下雅洋さんは、シビックプライドをそんなふうに表現する。この街が好きという気持ちから一歩先に進み、街に関わりたいという気持ちになる。その感覚を指している言葉が、シビックプライドだ。


読売広告社 都市生活研究所が実施する「シビックプライド調査」


結果はランキングとして発表されているが、山下さんが重視しているのは順位そのものではない。「総合順位だけを見ても、その街らしさはわからないんです」。数字の向こう側に、どんな街の姿や人の気配が見えてくるのか。そんな話を伺いながら、数字の向こう側にある街の姿を見ていく。


【写真】読売広告社 都市生活研究所 所長の山下雅洋さん 【撮影】三佐和隆士


シビックプライドは「街のファン」という当事者意識


――シビックプライドとは、どういう考え方なのでしょうか?


【山下雅洋】正確に言うと、市民が街や地域に対して持つ愛情や誇りを表す言葉です。ただ、いわゆる郷土愛よりも一歩先にあって、自分が住んでいる街をもっといい場所にしていくために、自分自身も関わっていきたいという当事者意識に基づいた自負心だと考えています。プライドが高い人が多い、という意味ではありません。


「街を好きだと思うだけで終わらず、関わりたくなる感覚」。シビックプライドについて、そう語る山下雅洋さん 【撮影】三佐和隆士


――住民だけに限った話ではないんですね。


【山下雅洋】そうですね。住民はもちろんですが、通って働いている街にも生まれますし、企業にもあります。たとえばトヨタさんなら、豊田市のために何かしようという気持ちがある。それもシビックプライドです。さらに言えば、一度遊びに行ってすごく好きになって、住むわけではないけれど何かしたくて、ふるさと納税をしてしまう。そういう行動も含まれると思っています。平たく言うと、街を推す、街のファンという感覚に近いですね。


――県民性とは違うものですか?


【山下雅洋】全然違います。ただ、住民が答える調査なので、少しだけ影響されることはあります。西のほうが高くて東北が低いといった傾向が出ることがあって、東北に仕事で行くと「こんな遠いところまで何もないところによく来たね」と自分たちの街を控えめに言う声が出やすい。控えめで、誇りを前に出すのが気恥ずかしい。その空気が数値に影響する場合はありますね。京都が意外と低いと言われるのも、あえて誇りを口にしない美意識が影響している部分はあるかもしれません。


言葉が広がった背景にある、街づくりの転換点


――シビックプライドという考え方は、どこから来たのでしょうか?


【山下雅洋】その考え方が広がったのはイギリスだと言われています。1800年代中盤、産業革命によって農村から都市に人口が流れ込み、市民が工場で働き、お金を持つようになった。その中で、自分たちの街を自分たちでつくろうという気持ちが生まれ、公会堂や公園を寄付で整備していった。そうすることで、自分たちが誇りを持って街をよくしていっているんだ、という自負が育ってきたのです。その考え方を日本で研究・発展させてきたのが読売広告社で、現在「シビックプライド」は当社が商標を持っています。


  • 続きを読む