
年末の差し迫った時期、自身がインフルエンザに罹患し高熱にうなされる。普通なら自分の体を第一に休めるべき状況だが、彼女の頭を支配していたのは強烈な焦燥感だった。「入院中の父のオムツのストックが切れる…!」頼みの綱である同居の夫も濃厚接触者となり、身動きが取れない。一人っ子である自分以外に、一体誰が父の世話をするのか。自分が倒れれば、すべてが立ち行かなくなる――。
今回は、右耳難聴や子宮内膜症など自身の体験を漫画で発信しているキクチさん(@kkc_ayn)のコミックエッセイ『父が全裸で倒れてた。』より、限界状況に追い込まれた一人っ子介護のリアルなエピソードを紹介する。




20代での看取り、そして再び訪れた「親が倒れる」日
キクチさんは以前、母親の自宅介護と看取りをテーマにした『20代、親を看取る。』を発表し、複雑に揺れ動く感情をありのままに描き、同世代から大きな反響を集めた。本作『父が全裸で倒れてた。』は、母を看取ってから約2年後、今度は父が病に倒れてしまう物語だ。母の介護・看取りを経たことで落ち着いて対応できることは増えたものの、一人っ子として頼れる家族がいないなか、次々と重い決断を迫られていく。