大阪の食文化と人間ドラマを描いた漫画『ナニワめし暮らし』の作者であるはたのさとし(@hatanosatoshi)さん。たちのぼる湯気や香りを感じるような、緻密な描写が特徴だ。
漫画『味わいの京』は京都を舞台に、新人編集者である小園ひよりの目を通してグルメや文化、そして彼女の成長を描く作品。
今回は、京都人なら誰もが知っていると言っても過言ではない名店「六曜社」をご紹介。勇気を出して店内に入れば、ほろ苦い味わいと香りが大人の世界へといざなってくれる。





大人への一歩を踏み出す珈琲店






ドアを開けるとコーヒーの香り。落ち着いた佇まいはまさに「大人の隠れ家」の雰囲気を醸し出す。1950年に開業した「六曜社」は、京都の人なら知らない人はない名店だが、この空気も長年愛されてきた理由のひとつだろう。
京都の知人は高校に合格した時、兄に連れられて初めて同店を訪れたと、ことあるごとに振り返る。「初めて大人の世界を垣間見た」というのが、その時の印象だそうだ。中学を卒業したての15歳には、コーヒーの味はまだほろ苦かったかもしれない。それでも、六曜社の世界は魅力に映った。大人への階段を一歩上ったような気がしたに違いない。