
真面目に働き、愚痴も言わず、物欲もない。何を出しても文句を言わず、妻に合わせて行動してくれる――一見すると理想の夫のように見える。しかし、意見を求めても返ってこない。喜びも不安も共有できない。育児にも関わらず、孤独だけが積み重なっていく。そんな関係の中で心をすり減らしていく女性の姿を描いたのが、コミックエッセイ『夫と心が通わない カサンドラ症候群で笑えなくなった私が離婚するまでの話』である。原案を手がけたアゴ山(@agoyama.okane)さんの実体験をもとにした本作と、その背景にある思いに迫った。
「理想の夫」のはずなのに、心は満たされない



夫は穏やかで、怒ることもなく、生活に不満を言うこともない。だがその一方で、何を考えているのかがわからず、会話は成立しない。すべての判断を自分が担い、子どものことも家庭のことも一人で背負い込む日々。不安や喜びを分かち合えない状態が続くと、やがてその関係は“安心”ではなく“孤独”へと変わっていく。周囲からは理解されにくい苦しみの中で、主人公は徐々に追い詰められていった。