オリンピックのような大舞台に立つ選手でも、本番前のルーティンを大切にする人は多い。受験の現場でも、神社での合格祈願や縁起物の文具など「験担ぎ」は今も身近な存在だ。
では、社会人になってからはどうだろう。初出社、配属のあいさつ、初めてのプレゼンなど、新社会人にとっても「本番」は意外と多いもの。そんなとき、決まった服を着たり、縁起の悪い言葉を避けたりすることには、一体どんな意味があるのだろうか。
今回は、法廷診療心理学博士・遠藤貴則さんの科学的な視点と、験担ぎに詳しいHappiness エミえみさん(以下、エミえみさん)の言葉から、本番前の整え方のヒントを探ってみた。

実力があるのに、本番で崩れる人の共通点
験担ぎというと、「信じるかどうか」の話だと思う人もいるかもしれない。だが実際にはもっと現実的な側面がある。人は緊張すると自分の言葉やその場の受け止め方に大きく左右されやすくなるからだ。
「人の記憶は、固定されたものではありません。思い出すたびに少しずつ変わっていくものです。ですから、『あのときこうだった』という本人の確信が、そのまま事実とは限りません。私は証言だけでなく、記録やファクトに重きを置きます」(遠藤さん)