
郵便配達員は地域に密着し、日々多くの住人と顔を合わせる。現役郵便局員の送達ねこ(@jinjanosandou)さんが描く『郵便屋が集めた奇談』は、そんな配達員たちが耳にした不可解な噂や、背筋が凍るような実体験を漫画化した作品だ。本作「浮遊する首」では、ある高架下にまつわる怪奇現象の背後に隠された、人間のドロドロとした情念が描かれている。
怪異の正体は「お嫁さんの嘘」だった



郵便配達員のハルさんは、近所でも有名なクレーマーのご婦人から「手紙を捨てているのでは」と激しい抗議を受けていた。しかし、そんなアグレッシブな彼女が、あるときを境に「日暮れ時に高架の上に人の首が浮かぶ」という噂に怯え、目に見えて衰弱していく。ハルさんはネットで噂の真相を調べるが、そこには意外な背景があった。
実は、この噂の出どころは彼女のお嫁さんだった。姑から「近所の子を車に乗せろ」と無理な要求をされ困り果てたお嫁さんが、角を立てずに断るために「以前、事故があったから園で禁止された」と嘘をついたのだ。その嘘が「事故現場の心霊現象」として広まり、姑を追い詰める結果となった。送達ねこさんは「弱々しくなった姑さんに満足しているお嫁さんの姿が、物語の結末に象徴されている」と、人怖の側面を語る。