日本科学未来館で、2026年7月1日から9月27日(日)までの間、特別展「大南極展」が開催中。南極は人間の活動による環境への影響が小さく、今の地球の状態を直接知ることができる場所。日本が70年間にわたって続けてきた南極観測は、気候変動の解明や未来の予測に大きく貢献してきた。本展は、そんな観測の成果を「ただ見て学ぶ」だけでなく、「体験しながら理解できる」展覧会だ。
一般公開に先駆けて6月30日に行われたメディア向け内覧会では、一足先に展示を体験。さらに、国立極地研究所の橋田元さんと熊谷宏靖さんによるトークセッションも行われ、南極探検にまつわる貴重な裏話を聞くことができた。本記事では、その内覧会の様子を交えながら、大南極展の見どころを紹介していく。
「大南極展」ってどんなイベント?
内覧会では、日本科学未来館の副館長・高木啓伸さんが登壇。本展の背景や、展示に込めた想いを語ってくれた。
日本における南極観測は1956年、観測船「宗谷」が晴海埠頭を出港したことから始まり、今年でちょうど70周年の節目を迎える。昭和基地での観測によってオゾンホールを発見したり、大昔の地球の気候を解明したりと、これまでの歴史のなかで世界的に重要な科学的成果を次々と上げてきた。一見、日本からはるか遠く離れた世界に思える南極だが、実は地球の気候変動の影響を最も敏感に受けている地域のひとつだ。そのため、南極の気候や氷、そこに暮らす動物たちの変化を観測することは、日本に住む私たちの未来を予測することにダイレクトにつながっているという。
今回の「大南極展」は、そんな少し難しそうに思える最先端の科学を、とにかく「楽しめる形で体験してほしい」という想いから作られた展覧会。会場に一歩足を踏み入れれば、来場者はみんな「特別南極観測隊の一員」になれる。ペンギンを間近で観察して数を数えたり、本物の氷に触れて耳を澄ましたり、さらにはブリザード(地吹雪)に吹かれる疑似体験まで用意されている。高木さんは「会場のブリザードはそれほど寒くないので、安心して体験してほしい」とユーモアを交えつつ、「子どもから大人までみんなが楽しめる展示になっている。地球環境の重要性や、未来を予測する科学のおもしろさに気づくきっかけになればうれしい」と本展への期待を寄せた。
体験!「大南極展」の見どころを紹介
展示スペースに入る前、受付で「特別南極観測隊ミッションシート」が配られる。これは観測エリアを巡りながら、展示を見てわかったことを穴埋め式で入れていく体験型のシートだ。これがあれば、夏休みに訪れる子どもたちもまるでクイズラリーを楽しむように、より集中して会場を回ることができるだろう。さあ、シートを片手に南極探検へ出発だ。
展示スペースに入ってまず目の前に現れるのが、本物の南極の氷に触れることができる特別なエリアだ。手に伝わる驚きの冷たさを感じながら氷に耳を澄ませてみると、かすかに「プチプチ……」という不思議な音が聞こえてくる。実は、何千年も何万年も前の空気が氷の中に閉じ込められていて、それが今まさに解き放たれている音なのだという。大昔の地球の空気が弾ける音をダイレクトに聴くという、ほかでは絶対にできないロマンあふれる体験に、冒険の始まりを感じ、大人も子どもも一気にテンションが上がるはずだ。
先に進むと、南極探検のための船の模型や、実際に使われていた持ち物、過酷な寒さに耐えるための服装などがズラリと並ぶ「上陸エリア」に到着する。ここでは、厳しい自然環境の南極へ向かうために「どんな準備が必要なのか」がひと目でわかるようになっている。普段は見ることのできない本格的な防寒着や珍しい道具の数々が並び、「これから本当に南極へ行くんだ!」と、探検家になったかのようなワクワク気分が味わえるはず。
上陸エリアを抜けると、いよいよ目の前に大迫力の南極の世界が広がる。ここからは、来場者自身が「特別南極観測隊の一員」となって、さまざまなミッションに挑戦できる超アクティブな観測エリアだ。
まず目を惹くのが、「人工オーロラ発生装置」だ。ここではオーロラが発生する原理がわかりやすく解説されており、その仕組みをもとに、人工的に小さなオーロラが発生する様子を間近で観察できる。さらに、実際に南極で撮影された大迫力のオーロラ映像も見ることができ、その神秘的な世界に思わず引き込まれてしまう。