近年は映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』やドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』、Netflixドラマ『イクサガミ』などで幅広い役柄を演じ、魅力を放っている井浦新さん。最新出演作となる映画『トロフィー』では、在日コリアンのルーツをもつ14歳の少女・ソヒの父であるサンジュを演じている。
インタビューでは、撮影秘話や役柄について、韓国のカルチャーに対する想い、さらに韓国・釜山の映画祭で感じたことなどを語ってくれた。
在日コリアンのルーツをもつ少女の父親役「“よくいるタイプのお父さん”に見えることを大事にしていました」
――最初に本作の台本を読まれたときは、どのような感想を持ちましたか?
【井浦新】恒那さん演じる主人公・ソヒの家族は決して特別ではなく、この世のあらゆる家族に起きている問題や課題と同じようなものを抱えているなと、台本を読んで感じました。なので、“ある家族の日常”というものを、役をとおしてしっかりと描いていけたらいいなと、そんな風に思いました。
――確かに、ソヒやソヒの家族とは生まれ育った環境や置かれている状況などが異なりますが、共感できるポイントはたくさんありました。
【井浦新】ストーリーの細かい部分を拾っていくと、国籍の問題や在日、差別、偏見などいろいろなものが内包されていますが、大きく捉えてみると、ソヒの家族と自分の家族を重ね合わせられるくらい普遍的な物語になっています。なので“どこにでもいる家族”、そんな風に映ったらいいなと思いながら撮影に挑んでいました。
――14歳の少女ソヒの父親で、朝鮮学校の校長であるサンジュを、どんな人物だと捉え、どういったところを大事に演じられたのでしょうか?
【井浦新】校長先生だから威厳のある人物にしようとか、在日だから苦しい過去を背負ってきたことが伝わるようにしようとか、そういうことはあまり考えず、まずは隣の家のお父さんに見えたらいいなと。多くを語らずとも、一瞬の眼差しや一人でいるときの背中から、サンジュの抱えているものが表出するはずですし、子どもたちや妻とのやり取りからも、サンジュの人物像が滲み出てくると思ったので、とにかく“よくいるタイプのお父さん”に見えることを大事にしていました。