その町には、幽霊が出る踏切がある。受験に失敗し、電車に飛び込んだ高校生の幽霊なのだという。見えない人が多いが、幽霊が出ることは皆が知っていた。その踏切が配達エリアにある郵便配達員・水谷くんは“見える体質”で、踏切待ちをしていると、嫌でも目に入ってしまう。
この幽霊について読者からは「幽霊が怖い風貌ではなくて、眠るように横たわっているというのがとても印象的でした」という声も届いた。この幽霊は何をするでもなく、ただ静かに踏切に横たわっているのだった。
誕生日の夜、仕事に疲れた配達員の“ある言葉”
水谷くんの配達エリアは幽霊が出るだけでなく、クレーマーやトラブルも多かった。ある日、クレーム客から延々と説教を聞かされ、やっと解放されて局に帰ってくると、新人が入力し忘れた未処理の仕事が放置されていた。踏んだり蹴ったりだ。仕方なく代わりに処理をする水谷くんだが、ふと「今日俺、誕生日じゃん」と気づく。