ウォーカープラス

仕事帰りや週末の夕暮れ、心地よい風に吹かれながら喉を鳴らして飲みたくなるのがクラフトビール。グラスを満たす繊細な泡、鼻をくすぐるホップの芳醇なアロマ、そして造り手のすぐそばで味わうできたての一杯は、日々の張り詰めた気持ちを優しく解きほぐしてくれる。そこにあるのは、風土の恵みと造り手の温かな想い。


JR武蔵野線沿線の西浦和・南浦和・東所沢・新座から、個性豊かなクラフトビールに出合える4つのスポットを紹介。情熱あふれる一杯と人のぬくもりを求めて、地域に根ざしたブルワリーやタップルームを巡りながら、お気に入りの一杯を探しに出かけてみよう。


日常の笑顔が交差する空間。地域とつながるクラフトビール拠点


■「団地キッチン」田島【西浦和】


JR武蔵野線の西浦和駅から歩いてわずか2分、緑豊かな田島団地の一角に佇むスタイリッシュな複合施設が「団地キッチン」田島だ。1973年(昭和48年)に建てられた旧銀行西浦和支店の建物をリノベーションし、2022年8月30日に新たなスタートを切った。


カフェ・ブルワリー・シェアキッチンを備えた地域コミュニティ施設/「団地キッチン」田島


明るく開放的なフロアへ足を踏み入れると、カフェやシェアキッチンとともに、ガラス越しに銀色に輝く醸造タンクが目に飛び込んでくる。「食」を通じた多世代交流の拠点として親しまれ、2023年度グッドデザイン賞やグッドデザイン・ベスト100にも選出。子どもからお年寄りまで、日常の笑顔が自然と交差する温かな空気に満ちている。


「この場所で自分たち自身が何かをつくれないか」と考えたのが、クラフトビールを醸造するきっかけに/「団地キッチン」田島


ここで自家醸造を始めた背景について、醸造担当の柳川剛慶さんは「地元の農産物をただ提供するだけでなく、この場所から自分たちの手で新しい価値を生み出していきたかったんです。地域の中でおもしろいことをやっていくツールとして、クラフトビールはすごく使い勝手がいいんですよね」と振り返る。


お酒が持つ人と人との距離をふっと縮める力を行政や住民と進めるまちづくりの潤滑油に据え、世代を超えた対話を生み出す架け橋としてビールに着目した試みは、オープン以来、街の日常に少しずつ溶け込んできたそう。


左から「団地-de-セッション」「サクラソウヒメ」「サクラソウクラフト」「団地のアンバー」(各850円)/「団地キッチン」田島


フラッグシップとして真っ先に選びたいのが、街のシンボルを名に冠した「サクラソウクラフト」(Just 800円、Small 450円)だ。さいたま市桜区の区花であり、埼玉県の県花でもあるサクラソウにちなんだ一杯で、桜区産のお米を副原料に使用。クラシカルなイングリッシュ・ペールエールをベースに、ノーブルホップの端正な香りと心地よい苦味、そしてお米由来のすっきりとしたキレが、心地よく喉を潤してくれる。国内審査会「ジャパン・グレートビア・アワーズ2026」のケグ部門で銅賞を獲得した確かな実力派だ。


さらに個性が光るのが、可憐な花を表現したピンク色の「サクラソウヒメ」。こちらも同じく「ジャパン・グレートビア・アワーズ2026」のケグ部門で銀賞に輝いた実力派で、埼玉県産の小麦を取り入れ、苦味を抑えた軽やかな飲み口に仕上げている。柳川さんは「地域の人と一緒に味見を重ねながらレシピをみんなで考えて、名前やラベルデザインまでワークショップを通じてみんなで造り上げた特別なビールなんです」と語る。プロの技術だけで完結させず、住民自らが街の誇りとして愛着を持てる共創の温もりが、その優しい味わいにそのまま表れている。


何を飲もうか迷ったら、「3種飲み比べセット」(1200円)がおすすめ/「団地キッチン」田島


ほかにも、モルトの芳ばしさと穏やかな甘味が引き立つ「団地のアンバー」や、軽快な飲み口で会話を弾ませる限定醸造「団地 de セッション」など、魅力的なラインナップが勢ぞろい。何を注文するか迷ったときは、3つの小さなグラスが木製フライト(トレイ)に並ぶ「飲み比べセット」でそれぞれの個性を楽しんでみるのがおすすめだ。※時期によって提供する銘柄は異なる


  • 続きを読む