ユーモアあふれる漫画を数多く手掛ける宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さん。実際の夜逃げ案件をもとに描いた「夜逃げ屋日記」は、DVや家庭問題に苦しむ依頼者たちの現実を描き、多くの読者の心を揺さぶっている。今回は、その中から第20話のエピソードを紹介する。
母親の姿を“最後に見たい”と願った娘
依頼者の井上さんは、引っ越し作業を終えたあと、社長に「駅前を通ってほしい」と頼み込む。理由を尋ねると、そこでは母親が宗教のパンフレットを配っているというのだ。
社長は井上さんの意思を尊重し、作業用のワゴン車を駅前へと向かわせる。するとそこには、白い帽子をかぶり、笑顔で立つ母親の姿があった。車はゆっくりと通り過ぎ、そのほんの一瞬だけ、井上さんと母親の目が交錯する。
車内に響き渡った“魂の叫び”と狂気
その場を離れたあとも、井上さんは静かなままだった。しかししばらくすると、突然歯ぎしりを始め、「くたばれくそババァ!!」と叫び声を上げる。それは、30年間押し殺してきた感情が溢れ出した瞬間であった。